呉服屋を営んでいる中で、日々いろいろな産地の織物や染物を目にします。
着物の産地と言って一番最初に思い浮かぶのは何といっても京都だと思います。
もちろん京都は着物の産地としてはもっとも大きいことは間違いないのですが、歴史的にみて
どちらかというと貴族や上流階級のための産地であり、友禅や西陣織、日本刺繍など贅の限りを尽くした技術が発展してきました。
一方沖縄は琉球王朝時代から王家の染めとして発展してきた紅型をはじめ、その土地その島々の祭礼や日常に密着した織物が現在でも多く存在し、現在でも多彩な染織(紅型、久米島紬、与那国織、芭蕉布、宮古上布、八重山上布、みんさー織、花倉織、琉球絣、道屯織、花織などなど。)を見ることのできるもっとも魅力的な地域ということができます。
他地域は商業的に発展を遂げていったため、機械化の道をたどっていきましたが、沖縄は風土や慣習などと密接なかかわりがあったため未だに昔ながらの作り方を守っているものも多く。織物の原点を見ることができます。
当店でも所有しているものを一部紹介いたします。
この織物は久米島紬という織物で、先染めの天然染料(グール、ティカチなど)を使った糸で手織りされています。
この地色を染めるために30回ほど繰り返し染められます。手織りならではの柔らかな風合いが魅力的で、久米島紬ならではの柄と違い、モダンな柄も他の帯との相性を考えた場合、使いやすく名実を兼ね備えた一反です。
この帯は花倉織という織物で伊藤峰子さんという作家さんの作品です。絽と花と呼ばれる凹凸のある糸使いが特徴的です。
いわずとしれた琉球紅型の名古屋帯です。抜けのいい鮮やかな色使いが沖縄の風土を感じさせます。
気品と色鮮やかで立体感のある首里織。