呉服屋を営んでいて
『着物はどこへ着ていったらいいんですか?』
と聞かれることがよくあります。
着物を扱っているお店のお客様なのに悲しい質問ではあります。
『どこへでも着ていったらいいんんですよ。』
とお答えするのですが、
いきなり街に着物でお出かけしていくということは、ものすごくハードルが高いのも事実。
(自分一人だけ着物を着ていたら注目されてしまうかもしれない。)とか
(この着方で合っているのかな。)とか。
もっと言うなら
(そもそも、着物の着方がわからない。)など
着物が日常着だった昔ならまだしも、着物を着て街に出ていくことは想像以上にハードルが高いものです。でも、実際に着物で街にお出かけしてみると、レストランでは、一見さんにもかかわらず、よい席をご用意して頂けたり、知らない方に声をかけて頂けたりといろいろうれしいことがいっぱいです。
ですから、もっと気軽に着物でお出かけして頂きたいと思うのですが、先ほども述べた通り、どこへでかけたらよいかわからないという方のために、着物プラス自分の好きなことを合わせて、着物を楽しんでみてはというのが、かわちやからのご提案です。
美味しいものを食べに行ったり、京都などの観光名所を訪ねたり、美術館や博物館でお気に入りのアートを楽しんだり、落語や能、狂言などなど着物の似合いそうなところはたくさんあります。
例えば、(このお店はフレンチだからこんなコーディネイトで行ってみよう。)とか
(この季節に京都のここへ出掛けるから、この帯を使ってみようとか。)自分のプライベートで着物を着るときには、正解などなく、自分のこだわりで自由に着てよいんですよ。
そして、着物を着て楽しまれている方の中で、比較的多くの方が愛好されているのが『歌舞伎』。
少しとっつきにくい印象があるかもしれませんが、最近では歌舞伎役者の方もテレビや映画またバラエティーと舞台以外で拝見することも多く、少し身近になりました。
歌舞伎は、着物の上級者もたくさんいるのでコーディネイトや着こなしの勉強にもなりますし、また着物の方がたくさん見えるので自分たちだけ注目されるという不安がないのもいいところです。
まずは、ミーハー的な動機で好きな役者さんを見に行くぐらいの気軽な感じでお出かけしてみませんか。こんな風に偉そうに書いている私も実は歌舞伎は初心者です。着物で歌舞伎を楽しむにあたっての不安を感じることが実際ありますので、そんな気持も包み隠さず綴っていこうかと思います。