着物のコーディネイトは洋服の場合と違い、着物に帯、帯締め、帯揚げ、足袋に草履とほぼスタイルは限定されます。コーディネイトは色、柄の組み合わせが中心になりますが、そんな着物のコーディネイトの中でアクセサリー的な存在が帯留めです。同じ組み合わせの着物と帯に飽きた場合やシックな装いに華をそえたい場合に、帯留を使うとコーディネイトにバリエーションを出すことができます。
例えば新春なら宝船や獅子舞、鶴亀など新春らしい帯留め、2月には梅やうぐいすまた3月3日のひな祭りにあわせて雛人形の帯留め、梅雨の時期には蓮の葉にとまる蛙の帯留めといったように、帯留で季節感を出すことによって コーディネイトに日本の四季を感じさせることができます。
季節のモチーフを使う場合のルールは季節を先取りすること。例えば、花のモチーフの場合咲く前からは使えるけど、散った後に使うのは野暮になります。
またモチーフには季節限定で使ったほうがいいものと、通年使えるもの、昔の人の遊び心から正反対のシーズンに使えるものがあります。
例えば桜は、春の花ですが、文様風の桜であれば、通年使えるというのが一般的です。しかし、桜の花びら柄の場合、その季節(3月下旬~4月上旬)に使ったほうが通なのです。
また雪華紋は冬のモチーフですが、真夏に使うと見た目に涼を呼ぶということで、夏のモチーフとしても使うことができます。このように一つずつモチーフを掘り下げていくと、とても面白いものです。
フォーマルに帯留めをすることができるかどうかは、人によっていろいろと考え方があるようです。基本的に帯留めは遊び心あるものが多く、その使用はカジュアル、または準フォーマル(パーティー、同窓会、レストランウエディングの参列など)程度が無難とされますが、
上流社会では、日本が欧風化していくに当たって、華やかな西洋の宝飾品に対抗できる和装品の一つとして、宝石を使った、帯留めが、戦前からもてはやされた。フォーマルな席では、「宝石を豪華に飾る(西洋の)ローブ・デコルテに対し、日本婦人の紋付き(色留袖)にノー・ジュエリーは見劣り」がし、宮内庁筋から、「きものの礼装のときは帯留めや指輪に宝石を」と、お達しが出たこともある。(ウィキペディア参照)
とあるようにファッションは変化するもの。特におめでたい席で着ることの多い留袖、色留、訪問着などでもファーマルにあった帯留を上手に使いこなして、ワンランク上の着こなしを心がけましょう。
お茶の世界では道具を傷つける恐れのある帯留めは避けるという考え方があるので注意が必要です。
帯留めに使える帯締めの種類は基本的に3分紐(約9mm)、4分紐(約12mm)といった幅の狭いもので通常の帯締めでは使うことのできないものがほとんどです。帯留めを使う場合、
①まず帯締めに帯留めを通しておきます。
②帯留め用帯締めの結び目を前でしっかりと真結びします。この時に結び方がゆるいと結び目を後ろに回した時に崩れてしまうので、少しきつめに結んでください。
③結び目をお太鼓の中に隠します。帯留めとして一番多い三分紐は少し厚手の袋帯の場合お太鼓をしっかり固定しておくには少し心もとないので、四分、場合によっては五分といった太めの 帯締めのほうがしっかり結べます。 (四分、五分紐が通らない帯留めも多いので、購入前にしっかり確認してください。)
アンティークの帯留めはとても高価なもので、数万から数十万するものもありますが、職人の技術の粋を集めた伝統技術の結晶です。帯留めの魅力はは単なるコーディネイトの一部にとどまらず、コレクションBOXを飾る大切な宝物です。四季折々のモチーフの帯留めを集めたり、好きな作家の帯留めを集めたりと一つづつコレクションしていくのも帯留めの楽しみのひとつです。
作家ものの帯留めやお気に入りの帯留めは自分だけの宝物として大切に使っていきたいですが、もっと気軽にそしてカジュアルに使いこなすためには自分で作ってしまうのも一つの方法です。帯留めの金具はネットショップなどでも購入することができるので、アイデア次第でどんなものでも帯留にすることができます。例えば陶器の箸置きなどは数百円で購入できるので、金具と合わせても千円以内で素敵な帯留めを作ることができます。自分だけのオリジナル帯留めを作ってみてはいかがでしょうか!