岡本さん夫妻に限らずものづくりをされている方は、自分たちの仕事の話をしているときは目を輝かせます。お二人とも染めの話になると、まだまだライバルといった感じで、話にも力が入ってきます。
お互いの仕事はほとんど手伝わないそうです。
ほっこりとした柔らかな雰囲気の紘子さんと
職人肌できっちりとした仕事の隆志さん。
同じ型絵染作家でありながらも全く違った感性をもっているので、お互いの作品に干渉しない。
作家として尊重し合っているからこそ、成立する夫婦関係がうらやましくもあります。
型絵染とは、お二人の師匠でもある故芹沢銈介氏が確立した技法で、基本的には紅型などと同じように型を使った型染です。しかしながら、それぞれの工程が分業の他の型染とは違い、
図案構成から型彫り、染めに至る最初から最後まで、作家が一貫して行うため、名もなき職人の仕事というよりは、一作家の作品的な要素が強いのも特徴の一つです。
また、技法的に言うと、色を刷り込む際の型ではなく、防染糊を生地に塗る際の型なので、左の写真でいうと柄の部分には糊がのらないので、その部分に一か所ずつ筆で色を入れていきます。
型絵染の人間国宝 故 芹沢圭介氏の弟子であり、確かな技術と独特の感性が持ち味。
現在は芹沢氏の門下として出会った奥様の紘子さんと一緒に型絵染の工房を営まれています。
奥様の紘子さんとは違った、規則正しく配置されながらも、一度見たら忘れないインパクトあるデザインと、手仕事ならではのゆったりとした味があり、『やっぱり型絵染っていいなー』と感じさせてくれるそ
んな作品です。