7月の中旬に山崎麻織物工房さんを訪れた際、分けて頂いた能登上布。麻の織物は夏の素材としては定番で、最も一般的な麻の着物としては、小千谷縮が有名です。小千谷縮は独特のしぼが特徴的ですが、能登上布は最もシンプルな平織りなので、本来素材の特徴的な魅力は表れにくいものですが、この織物は独特の存在感を醸し出しています。
宮古上布にも似た艶のある表情と、やはり手織物ならではのゆらぎというか、おおらかな地風が能登上布の特徴ともいえます。
最も魅力的なのはこの絣の表情。一つ一つ微妙に違う絣模様が魅力的な立体感を生んでいます。能登上布の年間生産量は着尺で300反程だそうですが、縞や無地系のものが多く絣使いのものは、そんな中でもごくごく希少になります。ここからの意見は、私のかなりの独断と偏見なのですが、この織物は華やかなものから地味なものまで着物を着つくした方が最後にたどり着く究極の逸品で、どちらかというと通好みの着物なのかなとも思います。ですから、コーディネイトを考えたときに一番最初に思い浮かぶ帯の素材は、芭蕉布などのシンプルで素材に力のある織物ですが、
白地に夏らしい涼しげな色の更紗の帯を合わせると、スキっとしたモダンな着姿を演出することができます。
あなたならどんなコーディネイトをしますか?