室町時代にポルトガル、スペイン、オランダなどの南蛮船によってもたらされたといわれる『更紗』。江戸時代に町人の文化と融合し花開くこととなります。京都の川の水が軟水であることから、華やかな色合いが特徴なのに比べ、神田川をはじめとする江戸の水は硬水。独特の渋い色味は水の影響もあったようです。
モダンでおしゃれな二葉苑の更紗
更紗というと細かい手の込んだ柄を想像する方も多いはず。二葉苑の『更紗』手の込んだ伝統的な更紗の技術に裏付けられながらも、よりモダンでシック、現代の着物ライフにもマッチする柄が特徴です。
【江戸更紗の着用シーン】
- 美術館・博物館など
- ショッピング
- 歌舞伎・落語などの観劇
- 友人との会食、パーティー、結婚式の2次会など
シンプルな柄の紬帯や塩瀬の東京友禅の名古屋帯などとコーディネイトの相性がいいです。
二葉苑の江戸更紗をご覧になりたい場合、色柄好みをお聞かせください。日程を調整のうえご用意させていただきます。また完全お誂え(色柄のオーダーメイド)もたまわります。お気軽にご相談ください。
妙正寺川と神田川が落ち合う場所というのが由来の『落合』は、その昔ほたるの名所として有名だったようです。『二葉苑』のある染めのまち落合は東京新宿の妙正寺川のほとりにあります。新宿というと大都会をイメージしますが、落合は古きよき下町の雰囲気の漂う閑静な町並み。妙正寺川沿いには昔は数百の染工場があり、川には反物を洗う姿がたくさん見られたということです。今ではその染工場のほとんどが廃業。
残った数件の染工場が集まり、もう一度染めのまち落合を復活させようという試みとして、年に一度『落合ほたるスタンプラリー』というイベントも開催されています。一般に染の工房を公開し、伝統の技術、また携わる人々の思いを伝えるイベントです。二葉苑では年に数回のイベントや新宿のミニ博物館として染の工房を一般に公開しています。
【更紗の製造工程】
コンピューターや機械が主流の現代でも、二葉苑では江戸時代から受け継がれた手の込んだ技術そして江戸職人の心意気をを代々受け継いでいます。マニュアルなどなく職人から職人へと伝えられていく伝統的な技法をベースにして、モダンな独特の柄やセンスを発信するのが江戸更紗『二葉苑』の特徴です。
【道具】
常時ストックされている染料の数は200色、使用される色は3000色にも及ぶそうです。二葉苑の工房は各工程ごとに見やすくそして、作業がしやすいように道具類が整然と並べられています。『常に新しい色を作っていくという心意気』のもと、納得のいく色柄の誂え(色や柄などの完全オーダー)にも対応してもらえます。
【板場】
板場では約7メートルの樅や桜の一枚板にまず白生地を糊で張り固定します。板と白生地の間に空気が入らないように張るのも修練のいる作業だそうです。白生地が固定できたら、一型ずつ、つなぎ目がわからないよう繰り返し染めていきます。型紙の数は通常30枚多いものだと300枚にもなるそうです。
【引き場】
部屋の端から端まで、しわがよらないように約12メートルの反物をはって丁寧に染めていきます。少しでも手を抜くと反物が台無しになってしまうため、ムラなく染めていくのは繊細で根気の要る作業です。この道四十数年のベテランの染色職人の大野さんでも、何年たっても緊張して刷毛を握るそうです。
【蒸し場】
色を定着させるために染め上げられたものを蒸しにかけます。意外と小さくサウナ小屋みたいです。
【水元】
現在は巨大な水槽で蒸しあがった後の反物を洗っていますが、かつては工房横の妙正寺川で洗っていたようです。
後継者不足が叫ばれる染物の世界ですが、二葉苑ではベテランの職人さんと次の時代を担う若手の職人さんが一緒に働いていて、伝統と新たな感性が共存する素敵な工房です。